(a)痔核(いわゆるイボ痔)
痔核には内痔核と外痔核があります。
@)内痔核は直腸と肛門の境界付近の血流うっ滞により、血管(静脈)が膨れ上がったものです。直腸と肛門の境界付近には、静脈の集まったところが3か所あり、この場所に内痔核はできます。
A) 外痔核は歯状線(直腸と肛門の境界)より出口側にできた痔核を言い、ほとんどは粘膜下の静脈叢にできた血栓です。痛みを伴います。ほとんどは、ステロイド軟こうと鎮痛剤による保存的治療で改善します。痛みの強い時は局所麻酔で血栓を除去することもあります。
(b)裂肛
便秘や下痢により肛門管が過度に押し広げられると、肛門粘膜が裂け、出血や疼痛をきたすことがあります。この状態を急性裂肛と言います。
急性裂肛が繰り返されると、肛門括約筋は過緊張となり、肛門管上皮に十分な血液が流れなくなり、肛門潰瘍が形成されます。やがて肛門括約筋は炎症で固くなり、肛門狭窄をきたすようになります。
急性裂肛の状態では、局所麻酔剤やステロイド軟こうで治療しますが、肛門狭窄をきたしたような裂肛は手術が必要となります。
(c)痔瘻
直腸と肛門管の境界は歯状線と言い、ここには肛門陰窩と呼ばれるくぼみがあります。このくぼみで細菌が増殖し、肛門腺に入り込むと、やがて肛門周囲に広がります。この状態を肛門周囲膿瘍と言います。さらに皮膚に膿の出口が形成され、肛門陰窩(1次口)と皮膚の出口(2次口)との間に瘻管ができた状態を痔瘻と呼びます。
痔瘻の治療の原則は手術です。しかしながら、痔瘻の術後は再発が多いのも事実です(15〜30%)。最近は、Seaton法という古典的方法が見直されています。